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うつ病の治療

うつ病の治療は抗うつ薬の服用十分な休息をとることが原則です。
特に以下の点についてよく心得ましょう。

・ うつ病が病気であることを理解する
・ 十分な休息をとる
・ 薬の重要性と副作用について理解する
・ 自殺しないことを約束する
・ 重要な決断をしない
・ うつ病は治る病気であることを理解する
・ 一進一退を繰り返しながらよくなっていくことを理解する
以上の項目は 「軽症うつ病」笠原嘉著より


うつ病が病気であることを理解する(うつ病の自覚)
うつ病は、脳の神経伝達物質が何らかの変調をおこしている状態です。
「ホルモンバランスが崩れている」といえばわかりやすいでしょうか。
よって、そのバランスを整え、正常な状態に戻す手助けをするために薬を使って治療すべき「病気」でなのです。
決して「心が病んでいる状態」ではありません
本人も、周囲の人も、頭でわかっていても心のどこかで「本人の意思でなんとかなるのではないか」と考えがち です。「病気」ということは常に頭においておきましょう。

「うつ病を自分の意思で何とかせよ、というのは ホルモンバランスを自分でコントロールせよ、というのと同じだ」

とおっしゃった方がおられます。
あなたはホルモンバランスを自分でコントロールできるでしょうか?
うつ病を自力で治そうとする試みがいかに無謀か、よくわかりますね。うまいことを言うものです

十分な休息をとる休息が重要
うつ病は、脳の機能が低下している状態です。
十分な休息をとって脳を休ませてあげましょう。
(脳が機能低下しながらも頑張って働いているときに、更にむちうって脳を酷使しないでくださいね。)
何もしないでぼーっとするのが一番です。気兼ねなくのんびりごろごろできれば、 それが回復への近道なのです。

間違っても「自分はこんなに怠けていていいのだろうか」などと気に病んだり 自分を責めたりしないようにしてください。
「休むことが治療」であり、 「病気を治すため」にごろごろしていることをしっかり認識しましょう。
(とはいっても「頑張って休む」とこれまた治療にならないので、とにかく気楽に休んでください。)
仕事などがある場合もできる限り休職などして休みましょう。

ここで退職してしまう方もおられますが、退職はさけましょう。

「会社での人間関係に疲れたから仕事をやめたい」とか、「仕事でストレスがたまったから病気になった」 と考えるのであれば、うつ病が治ってから退職して下さい。
うつ病が「仕事は嫌だ」と考えさせていることが多いからです。
退職は、うつ病が治って正常な判断ができるようになってからでも遅くありません。

また、「会社に迷惑をかけるから退職する」というのもやめてください。
必要以上に責任を感じてしまうのもまたうつ病の症状なのです。
病気になったからと言って退職するほど責任を感じるのは滑稽です。
例えはよくありませんが、骨折してしばらく仕事ができない時に「骨折したので退職します」とは言いませんよね。
「うつ病になったので退職します」なんておかしな話ですよ。

薬の重要性と副作用について理解する薬の力をかりましょう
とにかく薬は重要です。 まずは薬に頼って脳の機能を回復させてやりましょう。
また、通常薬の効果が出るまでに1,2週間かかり、この間副作用だけが前面に出る場合が多く見られますが、 よく見られる副作用についてはある程度我慢すればすぐに回復します。
詳しくは「薬について」のページで。

自殺しないことを約束する
これは非常に重要です。患者本人が「契約」として身近な人や医師と約束するなどしたほうがいいです。
うつ病は本当に苦しく、つらい病気で、どうしても死にたくなるのです。
しかし、一方でうつ病にかかる人は本来真面目な方が多いので、契約という形で自殺しないことを 約束すると、自殺だけは思いとどまることができたりするのです。
*ただし、周囲の人は本人が自殺しようとしているときに「約束したでしょう?」 と責め立てないでください。自殺しようとしているときにはそんな形だけの話ではなく、 まず、「自殺したいほど苦しい」という気持ちに共感を示し、 「つらいよね、よく頑張っているよね。」と本人を認めた上で、 「あなたが必要だ」「あなたを愛している」「離れたくない」といった本人の必要性を 心から話して説得してください。

重要な決断をしない
 うつ病にかかっているときは判断力や決断力も低下します。
低下した判断力で決断するのは間違いを起こしやすく、危険です。
人生を左右するような重要な決断は、病気がよくなってからでも遅くはありません。
「十分な休息をとる」の項目でもふれたように退職などしないようにしましょう。

うつ病は治る病気であることを理解する
 うつ病は、治る病気です。うつ病にかかると、一生このままなのではないかと考えてしまいがちです。
しかし、これこそ「うつ病の罠」です。決して罠にかからないで下さい。
「一生治らない」とか「死んだほうがましだ」というのは本意ではありません。
脳内神経伝達物質の乱れがそのような思い込みをさせるのです。
うつ病が治る病気であることを知り、「うつ病の罠」にかからないようにしましょう。
また、治ると言っても普通は3ヶ月程度かかります。
その他、まれに1,2年かかるものもありますが、長期間かかるものは比較的軽症の場合が多く、 日常生活が送れないほどの重症が長引くのは極めてまれです。

一進一退を繰り返しながらよくなっていくことを理解する
 うつ病は治療するにつれ、よくなったり、悪くなったりを繰り返しながら徐々によい方へ向かっていきます。
「よくなったな」と感じていたころにまた悪くなると、つい「このまま一生治らないのではないか」と悲観的に なりがちです。
しかし、悪くなったといっても治療開始以前と比べればはるかによい状態のはずです。
うつ病は「よい、悪い」の波を繰り返しながら次第にその波が小さくなり、治ってゆくのです。
一時的に悪くなってもうつ病自体が悪化したわけではないということを知りましょう。



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